家族が怪我をしたり高齢になって家の中の段差などが気になり始めたとき、何となく頭に浮かぶのが「介護リフォーム」ではないでしょうか。
ですが、介護リフォームといってもどんなことをすればいいのかよく分からないですよね。
介護を受ける人にとってリフォームが必要な箇所はそれぞれ違いますし、体の状態をきちんと把握していないとせっかく良かれと思ってやったリフォームが無駄になるどころか邪魔になってしまったりもします。
それに、古い実家を完全バリアフリー対応にしよう!と思ったら費用がいくらかかるのやら・・・。
不安の種は色々ありますよね。
この記事では、なんとなく介護リフォームを考えてはいるけど分からないことだらけ・・・な読者様向けに基本に立ち返って「介護リフォームって何ぞや?」という疑問を解消していきます!
お得に介護リフォームができる補助金制度や介護リフォームを成功させるポイントについても紹介しているのでぜひ最後まで目を通してくださいね♪
■目次
介護リフォームの目的

人の手を煩わせたくないのよ。申し訳なくて・・・
そういう時に介護リフォームをするんだよ
介護リフォームはバリアフリーリフォームとも言って、簡単に言うと介護に適した家にリフォームすることです。
その目的は以下の3つ。
・介護する人の負担を減らす。
・将来に備える。
それぞれ詳しく紹介します。
介護される人にとって暮らしやすい家にする
介護リフォームの一番の目的がこれ。
高齢者の事故の8割近くは家の中で起こっていると言われています。
引用:健康長寿ネット
今までは何ともなかった、ちょっとした段差やお風呂の床なんかが突如牙をむいて危険スポットになることもあります。
なので介護リフォームを行って、危険性をなくし安全に生活できるようにするのが目的のひとつ。
介護リフォームを行うことによって、介護を受ける人の自立した生活を促すことができるのもポイント!
今まで人の手を借りて廊下を歩いていた方でも、手すりをつけることによって自力で移動することができるようになります。
介護をする人の負担を減らす
介護リフォームは、介護を受ける人だけでなく、介護をする人の負担を減らすという目的もあります。
介護は体力的・精神的にも負担が大きいです。
介護リフォームをすることによって、介護がしやすくなったり介護を受ける人が自力でできることが増えたりして負担を減らすことができるのがいいですね♪
意外と抜け落ちがちですが、介護リフォームを行うときには介護をする人の視点もとっても大切です。
例えば、トイレ介助が必要なのであれば最低限2人で入れる広さのトイレにしないといけませんが、あまり広すぎても掃除の手間が増えてしまいます。
なので、介護を受ける人の負担だけでなく介護をする人の負担も考えながらリフォームプランを立てるといいですね。
将来に備える
例えば、今後家族の体の状態が悪くなったり、自分が介護を受ける側になったりもします。
その時に備えてまだ元気なうちにリフォームを済ませるというのも一つの考え方ですね。
介護が大変になってからでは介護リフォームについて考える余裕がなくなりますし、介護をしながらのリフォームは負担も大きいです。
その家に長く住む予定ならば早めに介護リフォームをしておくのもいいと思います。
介護リフォーム検討のタイミング


介護リフォームを検討したほうがいいよ、って目安があるから参考にするといいよ!
家族がまだまだ元気だと、介護のことはあまり意識しないし高額な費用のかかるリフォームをしようと思わないですよね。
ただ、「そろそろ介護リフォームを考えましょう」という目安はあります。
・突然の病気や怪我をしたとき。
・段差が危険だと感じたとき。
上の3点を意識し、介護リフォームを検討するようにしましょう。
考えてみればどれも当たり前のことではありますが、「ちょっと手を貸せばある程度のことは自分でできる」くらいのレベルだと「まだ大丈夫かな」となり、なかなかリフォームに踏み出せません。
しかし、「まだ大丈夫」と思っているうちに体の状態が悪くなり、気づいたら介護生活が大変になって余裕がなくなるということも考えられます。
「今はまだ何とかなってるし・・・」と思わず、少しでも介護が必要だったり危険な場所があったりしたら介護リフォームを考えるようにしてくださいね!
介護リフォームの補助金制度

段差につまづいて転んで頭打ったらどうするの?
介護リフォームをしよう!と思ったら気になるのが費用の問題。
必要性は分かっていても、高額なリフォーム費用に躊躇している方もいるのではないでしょうか。
介護リフォームは介護保険制度を利用して補助金を受け取ることができます。
少ない負担で安全な住まいになるので、ぜひ活用してくださいね!
補助金の対象者と条件
補助金を受け取るには条件がいくつかあります。
まずは読者様の家族が支給の対象者かどうか確認してみましょう。
・被保険者証の住所に住んでいること。
・要支援か要介護に認定されていること。
・施設に入所中・病院に入院中でないこと。
介護リフォームの目的で「将来に備える」というものがありましたが、介護保険制度を利用する場合、
「今は元気でピンピンしてるけど、将来に備えてリフォームしておきたい」
というのは対象外です。
ですが、要支援1(ほとんど自分でできるものの、生活の一部で手助けが必要な状態)でも補助金を受けて介護リフォームを行うことができるので、状態が重くならないうちに早めのリフォームをすることをおすすめします。
また、介護保険制度を利用したリフォームでは工事の内容も限定されています。
・段差の解消
・滑り止めやスムーズな移動のための床材変更
・扉の交換・撤去
・便器の交換
・上記に付帯する工事
補助金を受けられるのは、あくまで介護の問題を解決するようなリフォームに限られます。
間取りを大きく変えたり、キッチンを便利なものに変える、というのは対象外ですね。
便器の交換は和式から洋式へのリフォームはOK。
もともと洋式のものをグレードアップするリフォームは対象外です。
支給される補助金の金額は?
支給される補助金は上限が20万円で、そのうち1割が自己負担です。
その通り!
20万円を超える場合には2万円+超えた分の金額が自己負担分になります。
補助金の利用は原則一人一回と決められていますが、上限の20万円まで分割利用することもできます。
例えば最初のリフォームで5万円しか使わなかったら、残りの15万円分を次のリフォームのときに使うことができます。
一度に20万円使い切る必要がないのでいいですよね♪
対象者が複数いれば、利用者ごとにそれぞれ申請することができます。
ただし、100万円かかるリフォームで40万円分の補助金を使う、という使い方はできません。
手すりの設置はお父さんの補助金から、床材の交換はお母さんの補助金から、という感じで
重複しないように申請する必要があります。
関係書類も人数分必要なので注意しましょう。
転居したり、要介護度が3段階以上上がったときは再度20万円の補助金を受けることができます。
リフォームしないといけない場所がたくさんあると
「20万円じゃ全然足りねーよ!」
ということもあるでしょう。
自治体によっては他の補助金制度があったりするので確認してみてくださいね。
補助金支給の流れ
補助金支給は以下の流れで行われます。
介護認定を受ける
↓
担当のケアマネージャーに相談する
↓
工事前の事前申請
↓
承認
↓
施工
↓
工事終了
↓
工事費用の支払い
↓
補助金の支給申請
↓
補助金支給
工事費用の支払いは、一旦全額支払って後で戻ってくるタイプ(償還払い)と補助金が業者に支払われて自己負担分だけを支払うタイプ(受領委任払い)の2種類があり、自治体によって異なるのであらかじめ確認しておきましょう。
すでに工事を終えているものに対して補助金の申請をすることはできません。
工事を始める前に忘れずに事前申請を行いましょう。
補助金の申請については別の記事で詳しく解説していますので併せてチェックしてみてくださいね!
介護リフォームって何をどうリフォームしたらいいの?

それ以外にも色々あるから場所ごとのリフォーム事例を紹介するね!
介護リフォームと言ってもいまいちイメージできませんよね。
その人その人に合わせてリフォームを行うのがベストですが、イメージしやすいよう場所ごとのリフォーム事例を紹介します。
玄関のリフォーム
玄関や外回りは段差があり、危険な場所のひとつです。
広いスペースがあればスロープを設置するのがおすすめですが、無理やりスロープをつけても勾配が急になってかえって負担が増えることもあります。
段の高さは15cm以内になるように踏み台などを設置しましょう。
靴の脱ぎ履きが楽になるように、腰掛や手すりを設置するのもポイント。
引用:有限会社 エム企画
雨で濡れても滑らないように、床材も変えておくと更に安心です。
玄関のリフォーム費用の相場はこちら。
内容 | 価格相場 |
スロープの設置 | 12~15万円 |
段差を低くする・踏み台の新設 | 1~3万円 |
屋内の手すり設置 | 6万円 |
屋外の手すり設置 | 10万円 |
壁付けベンチの設置 | 4~10万円 |
床材の変更 | 5万円 |
トイレのリフォーム
トイレの介護リフォームはスペースの確保がポイントです。
介護する人が一緒に入ったり、車椅子で出入りすることも考えてスペースはゆったりとり、出入り口の段差もなくしておきましょう。
和式トイレの場合は洋式トイレに変更すると体勢の負担が軽くなります。
引用:浅井建築サービス株式会社
ヒートショック対策として暖房設備をつけるのもお忘れなく!
ヒートショックについては別の記事でも詳しく解説しているのでチェックしてみてくださいね。
また、寝室とトイレが離れている場合や移動が困難なときにはトイレの増設を視野に入れるといいでしょう。
押入れのスペースをトイレにすることもできます。
引用:TOTO
トイレリフォームの費用相場はこちら。
内容 | 価格相場 |
ドアを引き戸に変更 | 10~20万円 |
壁の補強+手すりの設置 | 3~10万円 |
ペーパーホルダーの交換 | 6000円 |
和式トイレから洋式トイレへの交換 | 20~40万円 |
暖房設備つき便座 | 7~15万円 |
段差の解消 | 2000~10万円 |
スペースの拡張 | 10~30万円 |
トイレの増設・位置変更 | 40~60万円 |
階段のリフォーム
1階だけで生活できるようにするのがオススメですが、色々な事情で階段を使わないといけないこともあるでしょう。
階段には手すりを設置し、転落防止のため床材を変えたりフットライトをつけると安心です。
自力で階段の上り下りができない場合には階段昇降機を設置するといいでしょう。
引用:有限会社 星野リフォーム
階段リフォームの価格相場はこちら。
内容 | 価格相場 |
手すりの設置 | 10~15万円 |
階段昇降機の設置 | 50万円~ |
浴室のリフォーム
浴室の介護リフォームはトイレと違ってそれほど大きなスペースは必要ありません。
浴室で一番怖いのがすべる床と居室との温度差です。
床材の交換と手すりの設置、温度差対策の浴室暖房を設置するといいですね。
浴室暖房を使うときは、お風呂のドアを開けて脱衣場も温めるようにするとより安全です!
お風呂が寒いのももちろん問題ですが、お風呂に入る前、入った後の寒暖差が一番危険ですので、お風呂場だけ温めるだけではなく、「お風呂場・脱衣場・居室を同じくらいの温度に保つ」ことが大事です。
引用:Nasa Home
浴槽への出入りができないときにはバスリフトを設置すると介護をする人の負担を減らすことができるのでおすすめです。
引用:TOTO
浴室リフォームの価格相場はこちら。
内容 | 価格相場 |
段差の解消 | 20万円 |
手すりの設置 | 3~5万円 |
床材の変更 | 5万円 |
バスリフトの設置 | 30万円 |
浴室暖房乾燥機 | 10~20万円 |
ドアを折り戸に変更 | 7万円 |
間口を広げる | 40万円 |
介護リフォームを成功させる3つのポイント

補助金が出るなら早い段階であっちもこっちも全部リフォームしちゃったほうがいいわよね!
介護リフォームを成功させるためには3つのポイントがあるんだ。
介護を受ける人、介護をする人にとって本当に暮らしやすくするために3つのポイントをきちんと意識してね
冒頭に書いたとおり、介護リフォームもやり方を間違えるとせっかくお金をかけたのに無駄になってしまいます。
ぜひ以下の3つのポイントを意識してくださいね!
・検討は早めに。
・一気にリフォームをしない。
それぞれ詳しく解説します。
介護のプロに相談する
介護リフォームはその人その人の体の状態に合わせて行うべきです。
ちょっとしたことですが、せっかく手すりがあっても高すぎたり低すぎたりすれば使いづらいですよね。
使いづらいものは使わないし、使わないものは邪魔になります。
高齢の親のために、浴室に手すりを設置しました。
私が使う分には、頑丈で何も問題無いと思っていたのですが、いざ親が使った時には持ち手が太すぎて、握力が弱い高齢者には使いづらいようです。
取り付け位置も、力が入れづらい位置になっているようで、結局親のためにはあまり役立っていません。
引用:リフォーム評価ナビ
どんなリフォームをするべきなのか、介護のプロに相談して決めるようにしましょう。
施工する業者にも介護の知識を持った有資格者がいると安心です。
検討は早めに
これまでもお話してきましたが、まだ大丈夫と思わずに早めにリフォームを検討することが大切です。
実際に介護生活が始まると毎日介護のことでいっぱいいっぱいで介護リフォームについて考える余裕はなくなります。
リフォームが始まると、規模によっては仮住まいが必要になりますし、仮住まいでの介護は負担が大きいです。
「もうどうにも不便すぎて必要に迫られてリフォームを行う」のではなく、「まだ余裕はあるけど、将来に備えてリフォームを行う」という考えを持ちましょう。
一気にリフォームをしない
リフォームをすると決めたら一度に済ませたい気持ちも分かりますが、介護リフォームは体の状態に合わせて徐々に行うのが成功のポイントです。
将来に備えることももちろん大切ですが、「将来寝たきりになるかも!」とか「車椅子になるかも!」と考えているとキリがないですし、今必要ないものは普段の生活で邪魔になります。
結局使いもしない設備を設置してしまった・・・という失敗事例も多いですね。
高齢の両親と、自分も含め家族みんなの『もしも』の時のことを考えてリフトを取り付けました。
が、それから数年経ちますが、誰も車いすは使っていないため、当然リフトも使うこともありません。
点検費用もばかにならないので、保守点検も止めてしまいました…。
本当に必要になったときに、動くかどうかもわかりません。
引用:リフォーム評価ナビ
段差を解消したり、扉を引き戸にしたり、といった今後必ず必要になるものを早めにやっておくのは賛成ですが、将来車椅子になるかどうか分からない時点で昇降機を導入するのは考え物です。
一気にリフォームを進めると「これ別にいらなかったな」と後悔することもあるので体の状態に合わせて徐々に行うことをオススメします。
介護リフォームとは? まとめ
・介護リフォームは介護を受ける人と介護をする人のために行う
介護リフォームというと介護を受ける人の負担を減らすものと考えがちですが介護をする人の負担を減らすという目的もあります。
介護をする人の視点はつい抜け落ちてしまいますが大事なポイントでもあります。
「介護しやすさ」もぜひ意識しましょう。
・補助金制度を活用しよう
条件を満たした上で申請すれば介護保険制度の補助金を受けることができます。
上限は一人20万円。そのうち1割は自己負担です。
自治体によっては他の補助金制度があるので確認してみましょう。
補助金制度をうまく活用すれば少ない負担で安全な住まいになります。
・介護のプロに相談しよう
介護リフォームをしよう!と思ったら、まずは介護のプロに相談しましょう。
手すりひとつとっても、太さや高さによっては使いづらかったりします。
その人その人の体の状態に合わせてベストなリフォームを行うためには介護の知識を持った人にプランを立ててもらうことが大切です。
これでお嫁さんの負担を減らせるわ♪
最後まで読んでいただきありがとうございます!