最近、オール電化の自宅が増えてきました。
オール電化は、災害などがあった時にガス漏れなどの心配がなく、特に母さんのような高齢者の独り暮らしの場合には、安心して暮らせるという点では大きなメリットではないかと思います。
そうすると、気になるのがランニングコストや設置の費用ですね。
オール電化は良さそうだけど、コストとしてはどうなのでしょうか?
今回はオール電化とガスの費用について比較してみました。
■目次
一般的な家庭の熱源をおさらい

まず、比較をする前に一般的に家庭で使用されている熱源の種類をおさらいしてみたいと思います。
- オール電化
- 都市ガス
- LPガス
このような種類がありましたね。

オール電化とは?
オール電化とは、冷暖房や調理器具、給湯設備などの住宅で使うエネルギーの全てを電気によってまかないます。
オール電化に使われる設備としては次のようなものがあります。
- エコキュート(電気温水器)
- IHクッキングヒーター
- 太陽光発電
- 床暖房
このようなシステムを備えたオール電化の住宅をオール電化住宅と呼びます。
都市ガスとは?
メタン(燃える気体)を主な成分に持つ天然ガスです。液化天然ガス(LNG)で、大半は海外から輸入しています。道路下のガス管を通じて供給され、LPガスよりも比較的料金が安いです。
LPガスとは?
液化石油ガス(LPG)で、プロパン・ブタンを主成分に持ちます。LPGも大半を海外から輸入しています。LPガスが入ったボンベを事業者が配送するため、一般的には都市ガスよりはコストがかかります。
”オールガス”という言葉も使われているようですが、こちらは基本となる燃料がガスであり、電力会社からの電気も併用します。全ての熱源をガスでまかなうということではありません。”ウィズガス“(ガス併用)という表現の方がしっくりくるかも知れません。
ウィズガスはガスによって発電を行い、その時に発生した熱でお湯を沸かすことで、省エネ・電気代の節約になるというシステムです。
オール電化?ガス?それぞれのメリット・デメリット

まずはオール電化とガス、それぞれのメリットとデメリットを見ていきましょう。
オール電化のメリット
- 火やガスを使わないので安全。
- 光熱費を一本化できるので、管理がしやすい。
- 給湯や暖房などの光熱費を削減できる場合がある。
- 災害時、タンク内のお湯を使えて、復旧も早い。
- IHキッチンは掃除がラク。

なによりお手入れしやすいIHキッチンに憧れるという人も多いんじゃないかな?


高齢者や小さな子供がいる場合、ガスの火の危険がなくなるというのも非常に重要だね。ただし、IHでも火災のリスクは減りますが、ゼロではないことに注意が必要だよ。
例えば、揚げ物調理をする場合はぜったいにその場を離れないでください。
加熱のしすぎで油の温度が250℃を超えると煙が発生し、400℃近くになると火種がなくても自然発火します。当然それを感知するセンサーも備わっていますがその機能を過信するのは危険です。
実際にIH調理器で天ぷらを揚げていた途中に目を離してしまい、鍋の油が発火したという事故も発生しています。
IHでの火災事故の主な原因は、「鍋がIHに対応していない」「油の量が少ない」「その場を離れた」「モードの誤り」などがありますので、これらのことには十分注意をしてください。
オール電化のデメリット
- 設置するコストが高額になる。
- 昼間の電気代が高い。
- タンクのお湯がなくなると、使えなくなる。
- IH対応の料理器具を揃えるためのコストがかかる。
- エコキュートの場合の夜中の騒音
- 貯水タンクのお湯は飲用に適していない。
- 電磁波が発生する。
- 停電がおこると何も使えなくなる。
オール電化は全を電気に頼っているので、停電になると家の機能が全てストップしてしまいます。
災害時の復旧は比較的早いですが、東日本大震災後には計画停電もありました。
太陽光発電などの自家発電システムを備えた住宅ならまだ安心ですが、台風や落雷などでも停電は起りますので、いざという時に困らないよう事前にしっかり備えておくことも大切です。
ガスのメリット
- 都市ガスなら低コストになり、設置時もオール電化に比べて低価格。
- co2の排出が少なく、お湯は必要な分だけ作られるので安全安心で無駄がない。
- 火を見て料理ができる。
- 床暖などの立ち上がりが早いため、暖まりが早い。
- 電磁波が発生しない。
ガスのデメリット
- 火やガスを使うため、安全性で心配な部分がある。
- 災害時の復旧が、オール電化に比べて遅い。
- コンロ周りの掃除に手間がかかる。
- ガスは輸入がほとんどなので、価格に変動がある。
- ガスの種類によって料金が変わる。
省エネ対策と安全性で人気があるオール電化ですが、原発の問題もあり今後の電気料金がどうなるのか予測することは難しいです。
電力自由化となった2016年の翌年の2017年には都市ガスも自由化になり、ガスの使用も見直されてきています。
ガス併用の場合は日中の電気料金は通常料金の設定になるので、太陽光発電などで自家発電を利用できると電気をまかなえ電気料金も抑えることがきますね。
ガス会社でもお得な料金プランが用意されているので、ガスの使用量が増えても安心です。


オール電化vsガス 費用を比較

それでは、本題のオール電化の場合とガスを使った場合の費用を比較してみましょう。
単位を合わせて比較するために、1kWの消費電力を持つ電化製品を1時間使用した場合の電気の量である、1kWh(キロワットアワー)でのエネルギーコストがいくらになるかで比較をしてみました。
電気やガスの自由化により、提携するところによっても料金が変化しますが、目安として比較してみました。
オール電化(昼間) | 約29円 |
オール電化(夜間) | 約13円 |
都市ガス | 約13円 |
LPガス | 約22円 |
このように比べてみると、オール電化は夜間が安く、ガスの場合は都市ガスが安いですね。


オール電化にすると電気代がどれくらいになるのか気になるという方はこちらの記事をどうぞ。家族構成別の平均額を調査しています。
導入費用の相場は?

今までガスを使っていたお宅からオール電化にリフォームする場合、設置費用も気になるところです。
設備の種類にもよるので一概には言えませんが、おおよその費用を調べてみました。
石油給湯器からエコキュートへの入れ替え設置費用
《内訳》
- 本体価格:30万~50万円
- 取付け工事・電気工事・給油機器撤去処分費など:15万~20万円
ガスコンロからIHクッキングヒーターへの入れ替え設置
《内訳》
- 本体価格:10万~25万円
- ブレーカーからの配線工事費・ガスの取外し費など:15万~20万円
電気式床暖房の導入
《内訳》
- ヒーター価格:15万~17万円
- フローリング材や電気設備工事費など:25万~33万
電気蓄熱暖房機の導入
《内訳》
- 本体価格:15万~38万円
- 取付け工事・電気工事・床補強費など:12万~35万


ここで、もう一つ注意しておきたいことが、それぞれの設備には寿命があるということです。
エコキュートの寿命は10~15年程度といわれており、IHクッキングヒーターや電気式床暖房も使用頻度やメンテナンスの状況にもよりますが電気機器になるので、一般的な”家電製品”と同じということを頭に入れておく必要があります。
蓄熱暖房機については構造が比較的単純であり省メンテナンス・高耐久といわれていますが、ヒーターやファンなどに交換や修理の時期がくるというコトも頭に入れておく必要があります。
まとめ
一般的な家庭の熱源として主なものはオール電化とガスがあり、ガスには都市ガス、LPガスがあります。
オール電化は夜間の電力がが安く、ガスの場合は都市ガスの方が一般的には安いです。
どちらがお得か?と言うことは生活スタイルによるので一概には言うことができません。
- 日中は家を空けていることが多い ・・・ オール電化
- 親世帯との同居や小さなお子様がいて、日中にも大量の電気やお湯を使用する ・・・ ガス併用
オール電化は生活スタイルに合えばランニングコストを抑えられるますが、対応する設備の導入費用は高めになります。
一般的な家電製品と同じで10~15年で寿命を迎えるということにも注意が必要です。
また、これから先の変化も頭に入れておく必要もあると思います。
共働きの間は日中は家にいる時間が少なかったが、子供が生まれどちらかが職を離れ家庭でしばらく育てる場合や親世代と同居をするようになる場合など、将来日中の電気の使用量が増える状況になるかもしれません。
オール電化からのリフォームでガス併用をと考える場合、都市ガスのガス管を引き込む工事費用は新築時と比べると高額になります。
家族の生活環境や今後の変化も見据えて検討することも大切です。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。
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